MTA(Mineral Trioxide Aggregate)という歯科材料があます。

1998年にアメリカのFDAで認可されまして、日本では昨年の4月にやっと認可されて国内で販売されるようになりました。それ以前は歯科医師の自己責任で個人輸入でしか手に入れる事が出来ませんでした。
んで、これがなんなのかといいますと。。実は
魔法の薬なんです(笑)
この材料の用途としては神経に近い所まで達するような深い虫歯や根管治療なんかで根尖病巣が大きく歯根端切除術といった外科的な処置が必要になるケースで用います。
昨年の4月に発売されてこの一年程使ってみたのですが、非常に予後が良いので僕は魔法の薬と勘違いしつつあります(^^;)
日常の臨床でよく使うのが虫歯が深いケースです。
例えばこんなケース

分かりやすく虫歯の部分を暗くしてみました。

かなり深いです。で、マイクロスコープ&ラバーダムを使って慎重に虫歯をとり、MTAを詰めましてその上にグラスアイオノマーセメントで蓋をしてます。

こんな感じです。
ではもう一つ

これもかなり大きい虫歯です。


どちらのケースも虫歯の除去する際に神経の一部が露出しました。
抜髄になってもおかしくないケースです。
もちろん治療にさいしてはラバーダムは必須になります(^^;)
神経が露出した部分は徹底的に消毒しましてMTAを充填してます。
処置時間としてはトータルで一時間くらいはかかるでしょうか。
術後1日程若干の痛みがあったのですが、どちらのケースも今の所、問題なく経過しています。僕がMTAを使った感じでは僕が従来このようなケースでやっていた方法と比較してかなり予後は良いと感じています。これくらい虫歯が深い症例では抜髄になるケースがかなり減りました。最近はかなり自信を持って患者さんに勧められます。もちろん医学ですからうまくいかない事もありますし、これがあれば何でも治るってわけじゃありません。術前に慎重に適応症かどうか見極める必要性があります。
神経は出来るだけ取りたくないですから、、。
マイクロスコープ使って根管治療をしていると根管治療というのはもの凄く難しい治療だと実感しているので本当にそう思います。残せるもんならなんとしても残したいです。このような症例では試す価値はあるかと思います。
個人的には何かとマスコミで話題になっている「3mix-mp法」というものより遥かに世界的にも信頼できるエビデンスもありますし、予知性も高いかと思ってます。
でも、、、、、、非常に良い薬なんですが、、実はものすごい欠点がありまして、、、値段がメチャクチャ高いと言う事。
なんと1袋1グラムで1万円程します(^^;)
一応、保険診療での使用も出来るのですが、点数があまりにも低すぎるので保険診療で使った場合は大大大々赤字になってしまいます

それと操作性が悪い。要するに扱いにくいんです。
こいつを使いこなすにはマイクロスコープとラバーダム防湿と術者の技量がとても必要になります。